大々的なバースコントール政策で、「夫婦一組に一人の子供を!」という呼びかけは、中国の加速していた人口増加率を抑える役は果たしたものの、皮肉にも、その落し子たる子供の教育に、新しい問題を投げかけることになりました。家庭内では、おじいちゃん、おばあちゃん、そして、夫婦そろって、まるで腫れ物にでも、触るような可愛がりように慣らされた子供は、栄養過多による肥満、我がまま、気ままなひねくれ者、人付き合いができない、短気で怒りっぽい等など、といった気質の子供になってしまい、家庭内に於いては、やりたい放題の、まるで"小さな皇帝"ということからと呼ばれるトンデモナイ皇帝(こども)の誕生、という社会現象を、引き起こしてしまいました。こうした病状を中国では、
と呼んでいるそうです。
は、父方のおじいちゃんとおばあちゃん、それに母方のおじいちゃんとおばあちゃんの四人。は、父と母の二人で、この全部で、六人の大人たちがつまり、一人の子供を、よって、たかって可愛がることによって、引き起こされる"病気"らしい。
「どの家にもみなそれぞれ困ったことがあるものだ」
などと、わたしのような俚諺に興味を持つ者が、人ごとのように、このように言い放ち、さらに、
「普段、家で食べる飯はうまいが、家のことはナカナカうまくいかないものだ」
などと云って、この場限りの句で、お茶を濁して済むようなことではなく、このことは、今、中国の抱える深刻な社会問題では、あるようです。
中国の『一人っ子政策』は1978年に実施されましたが、この政策が実施された当時に生れた一人っ子は、すでに成人式を終え、早や結婚適齢期を迎えています。西暦2000年から一人っ子同士の結婚については、子供は二人まで生んでもよろしい、と認められてはいるようですが、結婚をしない若者が増え、また、結婚しても、子を持たない夫婦が増えてきているといいます。これは、世界的な傾向なのでしょうか。
出張、出張、と、家を空けて、駆けずり回る商人(ビジネスマン)たちも、それぞれ家庭を持ち、子供を持つ親が、ほとんどでしょうから、商売の話しもさることながら、商売よりも、もっと憂鬱になりかねない自分の家族の話を本音の部分で話すことができるような中国人を、友人なり、仕事のパートナーに、もし、持つことができたなら、中国との交流も、また別の世界が開けるやも知れません。年とともに、友達が一人欠け、二人欠けしていく昨今、新しい友達作りもせねば、と思うこのごろです。
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