深沢俊太郎

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Shuntaro Fukasawa
新中国いろはたとえ歌留多


「新・新中国いろはたとえ歌留多」
(連載/月二回/毎月10日と24日更新)
No.36 2006年8月10日
新中国いろはたとえ歌留多:連載No.36
 売りも買いも、ともに上手、というバランスのとれた商人(ビジネスマン)は、なかなかいるものではないように、見受けます。我が諺に"商い上手の仕入れ下手"というのがあります。これは、いくら売るのが上手でも、仕入れが下手では、利益は上がるものではない、ことを謳っています。中国でも、これと同じ俗諺があります。
《会(ホエ) ?(マイ) 的(デ) 不(ブ) 定(ディん) 会(ホエ) ?(マイ)》
「売ることの上手な人は、買うことが上手とはかぎらない。」

ついでに、もうひとつ憶えましょう。
《会(ホエ) ?(マイ) 的(デ) 不(ブ) 如(ルゥ) 会(ホエ) ?(マイ)》
「買うことのできるほうが、売ることのできるよりマシだ。」
というのがあります。つまり、仕入れ上手な人のほうを、上に置いていることに、注目しましょう。商いは、仕入れが肝心、ということを謳っているのです。  筆者の益友S氏に、このへんのところを聞くと、即座に、「そう! 商売は仕入れだ!」と、いったあと、続けざまに「しかも、売れ筋の品を仕入れることができることだ!」と、明快に答えてくれました。ストレートにものをいう氏は、中国人に、好かれます。それは、氏の言葉が、論理的で、分かりやすいからでしょうし、氏の気合の入った語気のせいも多分にあるようにも思いますが、やはり、氏自身の体験に裏打ちされた、内から出てくる声だからでしょう。
ついでながら、S氏の中国のパートナーに、時に、怒りをこめて、時に、穏やかに"たしなめ"の言葉を交えて、書き綴った手紙があります。その中から、氏の信条とでもいいましょうか、商売語録とでもいったらいいのでしょうか、筆者自身、興味深いものを抜き出してみました。
1.
自己が判らない人間は警戒せよ。
2.
過去は考えなくていい。過去はすべて歴史だから。
3.
商売は予見だ。タイミングが重要な要素。一気呵成に攻撃時期と石の如く動かない時期あり。
4.
サンプルはモノを云わないセールスマン。
5.
売る努力に必要なものこそ、必要な買物なのだ。
6.
売り手は地球、お客様が太陽。商売、天動説に陥るな。
7.
話し方、態度等、外見は関係ない。心眼を開けよ。心だけを看よ。
8.
お客様の気持ちにこだわること第一。自分の考えにこだわるな。
9.
苦情聞きまくり法:聞いて、聞いて聞きまくれ。
10.
売り手第一主義から離れよ。

以下、中国の俚諺を二つ:
《生(シォん) 意(イィ) 不(ブ) 在(ザイ) 早(ザオ),只(ヂィ) 要(ヤオ) 遇(ユィ) 得(デ) 巧(チィャオ)》
「商売は早さにあるのではない、タイミング好いめぐり合わせにこそあるものだ。」

《生(シォん) 意(イィ) 无(ウゥ) 大(ダァ) 小(シィャオ)、在(ザイ) 乎(フゥ) 做(ズオ) 的(デ) 巧(チィャオ)》
「商売に大小はない、やり方次第だ。」

以上、道理は判っても、なかなかどうして、商いというのは簡単ではない、ってのが実感です。

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