貿易を営む会社は、通信が、商売の命綱ですから、こと相手との連絡は、マメに、せねばなりませんし、通信費を惜しんでは、なりません。中国も電話、ファックス、昨今ではEメールの普及、更には、パソコンを通じて、無料電話さえかけられる時代になりました。通信は、実に、便利になったものです。穿孔テープをセッセと作り、テレックスで、やりとりしていた昔々のころを思うと、隔世の感がします。ただ、いつの時代も、手紙文を書くというのは、ビジネスでは、欠かすことのできない、大変重要な仕事、手段ですから、商人(ビジネスマン)は、自分の考えを簡潔で、しかも、ストレートに、表現できるような訓練を常日頃より、養っておくことは、大切です。通訳さんに翻訳を頼むにせよ、わけの分からない文章では、相手に伝わりようが、ありません。
ここでは、手紙の形式、作法を、ざっと勉強しておきましょう、か。
一、封書の書き方:
日本の書き方と、ほぼ同じですが、注意するところは、真中にくる受取人の姓名の後の呼称で、一般的には、手紙の書き出しの呼称と一致させることでしょう。○○先生なら先生。××小姐なら小姐、という具合にします。そして、その呼称の後に付け加える言葉があります。
などが丁寧な言葉として知られていますが、現在では、簡略化されて、
の一字ですませることが、ほとんどです。
台湾、香港へ出すときは、簡略化した簡体字は使わず、などと、繁字体を使います。
二、書き出しの呼称:
常用されているのは、で、これは男性への尊称。は女性への尊称で、日本でいう「○○様」「○○さん」と、いうほどの意味になります。また、相手が政府職員とか外交関係に、たずさわっている人であればとか、と、姓名の後につけます。相手が文人であればとかなど、と書いてもよいでしょうが、これは、体裁のいい、昔のかしこまった表現、と、いうことになります。女性でも、年配の方に対してはが、よいでしょう、ね。ごく親しい人に対しては、ただ、相手の名前を書くだけで、姓は書かなくとも、よいでしょう。しかし、相手の名が一字である場合は、習慣的に、姓と名をあわせて、書きます。
実際に、兄ではなくとも、親しみをこめてとかなど、と、書いたりもします。また、相手に字(あざな)があって、その字を知っている場合には、その字を書いてやると、尊敬を表わすことにもなりますし、より親しみをこめたことにも、なります。
肩書きは、どうしたらよいかというと、親しい間柄であれば、肩書きは、つけてやる必要はありません。会社関係の普通の間柄であるなら、相手の肩書きをつけて、書いてやるのがよいでしょう。
三、文末のマナー:
文末に、相手への祝福の言葉を入れるというのが、中国の手紙の特徴といえば、特徴になりましょうか。ごく一般的な表現をあげると、
「お仕事が順調に運びますように」
「楽しくお過ごしください」
「ごきげんよう」
「ご健康をお祈りいたします」
「ついでながらご多幸をお祈り致します」
「商売がうまくいきますように。」
「敬具」
等などがあります。
四、署名の後につける儀礼語:
普通には、自分の姓と名を署名して、そのあとに
などを、書き加えます。
つい先日、中国の友人から、(拱手の礼をする)というのもありました。しかし、最近は、署名だけのものが多くなってきているようです。
あとは、日付は、忘れずに入れましょう。ビジネスの手紙では日付は、ことのほか大切なことは、いうまでもありません。
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