筆者が、はじめて、『田七』という妙な名前を聞かされたのは、1993年の4月ごろだったと思います。それは、二十数年来の友人でもあるN氏(ならや本舗社長)からでした。薬嫌いで、まず、薬は飲まない筆者でしたから「身体にいい漢方薬ですよ」と、いつもの人当たりのよい、ものやわらかげに話されるN氏の言葉にも、「ホホウ!」と頷くだけで、そのときは、そのまま聞き流していました。それが、どうしたことか、二年あまり経って、その筆者が、中国の雲南省から直接、この田七なるものを輸入し、N氏の経営する別会社玄楽にお渡しすることになるのですから、世の中は不思議です。
行きがかり上、この田七を調べているうちに、中国では、という名前で通っていることが、分かりました。しかし、何故か日本では、田七(でんしち)とか田七人参(にんじん)という名称に、落着いています。、この名は、中国でも、あるにはあるのですが、中国の広西省に産するものを指して、いっているようです。主産地は、雲南省文山、硯山などですが、ここら一帯に産するものがと呼ばれ、中国全土に売られているので、この「三七」の名称が、中国では一般的なのは、当たり前のことでしょう、ね。まあ、こうした名称の詮索は、抜きにして、筆者がこの漢方薬に興味を持ったのは、その形状からでした。ゴツゴツした硬肉質、紡錘形というのか、逆円錐形というのか、そのうえ、各処に瘤のような突起状の分枝が見られます。あまり美形とはいえません。しかし、よくよく見ていくと、何かかにかに似て見えるのです。興味は、イロイロ連想を誘う、その形状、姿かたちからでした。爬虫類、馬、羊、鶏、亀、犬、トルソ……はたまた男根、女陰に似たものまで、あります。こりや楽しめる! 眼にとまったヤツをさっそく選び出し、硬めの布で、ゴシゴシと、こすり磨くと、だんだん黒光りしてきます。形状の気に入ったものは、飾って置ける。これがまたなんともイイ。
「現在の健康を維持させること、それが、漢方なのですよ!」、「病気になってからでは、遅いのですよ!」と、いわれるN氏の勧めもあって、筆者も、この田七を飲み始めて、もうかれこれ、覚えず知らず、十年経ってしまいました……この苦味は、わたしに合う!……この田七を食して以来、何故か体調もよろしいので、以来、人に逢う度に勧めています。中国でも、価格は高く、最近になって注目されている漢方だけに、この田七は、もっとたくさんの人に、知ってほしいもの、と、おもっています。何事も健康第一、健康を維持できなくては、金儲けも、セックスもあったものではありません。「金で買えないものは"健康"ですよ!」と、いつも、人に云いますが、「田七は買いなさいよ!」と、つい商売根性を出してしまうこのごろです。
「ボロ船でもまだ三千本の釘は出るものだ」(腐っても鯛)
「大鍋の底は撫でても三杯(の粥は出るものだ)」
ついでながら、田七の等級ランクについて、解説しておきましょう。
その規格は、500グラムで、粒が何個あるか、によって決められております。ですから、例えば、500グラム中、33粒くらから35粒ほどあるというと、その等級は「30頭」と呼ばれる一級品です。以下、ピンからキリまでのランクを列記しておきますので、購入される時の、参考にしてください。
特級:20頭――23〜25粒
一級:30頭――33〜35粒
二級:40頭――43〜45粒
三級:50頭――53〜55粒
以下は、ランク付けは無しで:
60頭:63〜65粒
80頭:83〜85粒
100頭:103〜105粒
120頭:123〜125粒
160頭:165〜165粒
200頭:210〜218粒
大二外(大200頭):260〜270粒
小二外:270粒以上
田七尾:フシを剪ったモノ、切れ端等
などとイロイロです。
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