|
|
「湖南人のラバ(野郎)」
これは、罵倒語に入りますが、湖南人は、性格が素朴で、頑強、しかも、ねばり強い、という称賛する意味も含んでいるというのです。しかし、湖南人にとっては聞きたくない言葉でしょう。
|
|
|
|
「河南人の阿呆、河南人の無鉄砲」
これは、河南人の世渡り下手のことをいっているらしい。同じく、河南人にとっては聞きたくない言葉でしょうね。。
|
|
|
|
「山西人は、命を投げ出しても、財産は投げ出さないが、山東人は、命も財産も投げ出す」
これは、山西人は倹約家で、山東人は豪気で、任侠心を持つ、という意味のようです。
|
|
|
|
「山東人は、一群の羊」
これは、山東人は男気、義侠心があり、よく団結することを意味します。
|
|
|
|
「錦州人の見栄っ張り、広寧人のそそっかし屋、義県人の強情っ張り、寧遠州人の偏屈者」
いずれも遼寧省にある地名で、広寧は現在の北鎮、寧遠州は興城を指します。
|
|
|
|
「三桂の人と取り引きするのは、むずかしい」
ここでの三桂とは、桂林(グイリン)、桂平(グイピん)、貴県(グイシィエン)の三地区をいうそうで、広西壮族自治区にある地名です。この三地区の人たちは、邪険であることから来た句ということらしい。
|
|
|
|
「泉州人は、誰しも気性が激しい」
筆者の30年来の親友は、香港在住の泉州人。うん、これ、当たっているかな。
|
|
|
|
「なんにも怖いものはないが、広東人の北京官話を話すのだけは、恐ろしい」
これは、広東人の北京語の下手さ加減を皮肉った俚諺です。
|
|
|
|
「北京人のすれっからし、天津人の口上手、保定人の走狗」
|
|
|
|
「ズルの無錫人、悪(わる)の常州人、ズルで悪なのが江陰人」
無錫、常州、江陰は、いずれも江蘇省の城市(まち)。
|
|
|
|
「蘇州の女、杭州の男」
これは、女の方は器量好(よ)し、男の方は意気軒昂であることをいいます。
|
|
|
|
「湖南省の女は、情愛が深い」
|
|
|
|
「金があれば、ラバを買うより剣川の女房をもらうほうがいい」
これは、雲南省麗江一帯剣川地方の女性は働き者というところからきた句です。
|
|
|
|
「崇明人は、天候をよく予測し、江西人は、宝の何たるかをよく知る」
この上の句の意味は、5700キロ余りもの長さを誇る悠悠巨流揚子江(ようすこう)のちょうど河口に位置する崇明島(上海の真向かいにある島)の地理環境に関係している句らしいのですが、一説に、崇明の人は、航海業に携わる人の多いことから、天気に詳しいのだ、といいます。下の句は、江西人は商売上手といわれることからきた句です。
|
|
|
|
「江西人は、傘一本ひっさげて、湖南へ乗り込んで来て、ボスになる」
これは、湖南人が江西人を批評していう俚諺ですが、これも、江西人の商売上手を表現した句です。実際、湖南省には江西省から移り住んで来ている人がかなりいるそうです。この句は、湖南人の江西人への妬(や)っかみ含んだ皮肉かしらね……
|
|
|
|
「瑞安にはインテリが出、平陽には芝居役者が多く、温州には娼婦がいる」
瑞安、平陽、温州は、いずれも浙江省にある地名です。温州は、現在も「開放的で面白い」といいます。また、こんな表現もあります。
「温州には才人が出、瑞安には役者が出、平陽には塩漬けのハムが産出す」
|
|
|
|
「寧波人がいなけりゃ街を成さぬ」
これは、寧波人の商売に長けていることを表現した句です。寧波人は、ことに開発、新規事業にすぐれた才能を持つといわれていたようです。
これは(湖南人がいなけりゃ軍隊にならぬ)と類似のお国自慢的表現でしょう。
|
|
|
|
「湖北のズルおやじ三人がかかっても、四川のおやじ一人にはかなわない」
この俚諺には、上句があります。それは(天上で不吉なのは九頭鳥、地上でズルイのは湖北人)で、これに続くのが、上にあげた句です。湖北人のズルと言われても、またこのようにきりかえす言葉が在るあたり、なかなかしたたかなものです。
|
|
|
|
「四川人は、竹の根のように親密である」
これは、四川省はみな一家、親族のように、絆が強いことを意味しているようです。
|
|
|
|
「天下の名文は、尽く蜀(しょく)の国にある」
これは、史上有名な作家は四川省出身の多いことを意味した句です。李白、蘇氏父子、司馬相如などがそうですから、四川の人が自慢するのもムベなるかな、です。
|
|
|
|
「金持ちを探すなら、漢口へ行け。文人学者を探すなら、武昌へ行け。労働者を探すなら、漢陽へ行け」
つまり、漢口は商業、武昌は大学などが多くある街、漢陽はシトロエンなどの外国企業との合弁工場が多くある街であることを謳っています。
ところで『武漢三鎮』という言葉を"ナツカシイ"といわれる方もいらっしゃいましょう。いうまでもなく、三鎮とは、漢口、武昌、漢陽の三都市のことで、現在は、合併して武漢市となって、湖北省の省都である、とは広く知られています。しかし、"武漢"という列車の駅名は無い、ということを友人から聞き、「ほんとにそぉ?」って思ったことがありました。本当なのです。
|
|
|
|
「揚子江の水は硬い」(江陰人は硬骨漢である)
の項では、「ズルで悪(わる)」なのが江陰人、という俚諺を紹介しましたが、江陰人について、もう一つ、関連句に出会いました。ここでの江陰人は、不屈、頑強、気性が強いなどの意味で使われているようです。揚子江の水質に掛け、まるで揚子江を代表せんばかりの謂いです。江陰人の気概が感ぜられる、ととっていいのでしょうか、それとも、江陰人を皮肉った句なのでしょうか。ちなみに、江陰は、南京と上海の中間、揚子江南岸にある要害の地、と中日大辞典に出ておりました。
|